筐体材料の種類や材質は?選び方も解説

投稿日:2022年01月26日

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製品の筐体にどの材料を使っていいか困っていませんか?

筐体材料には様々な材質がありますが、求められる性能や耐久性、コスト面などによって選ぶべき種類は変わってきます。

本記事では、筐体材料の種類と特徴、選び方のポイントについてお伝えします。

筐体とは

筐体とは、電子機器や機械を内蔵する容器のことです。

筐体は身近にあるスマートフォンやPCを始め、計測器や配電盤、自動車や飛行機のボディなど、あらゆる所で使われています。

筐体は、機器の持ち運びを簡単にするのはもちろん、水や塵埃、日光やノイズから機器を守り、安全に製品を使えるようにする役割も果たします。

ただの容器と思われがちですが、筐体の形状はデザイン性にも関係し、飛行機や自動車などでは機能にも大きな影響を及ぼすため、筐体設計は奥深い技術といえるでしょう。

選び方のポイント

製品に様々な形で影響を与える筐体ですが、材質を選ぶ上でまず重要となるのは耐環境性と放熱性、そしてコスト、重量です。

それぞれのポイントについて解説します。

耐環境性で選ぶ

自動車用の機器なら激しい振動がかかり、屋外で使う場合は雨や埃、日光が当たるなど、製品は置かれる環境によって様々な影響を受けます。

そのような状況下でも故障せず正常に動作しつづけるために求められるのが耐環境性です。

耐環境性能としては、主に以下の種類が挙げられます。

  • 耐振動・衝撃性
  • 耐ノイズ
  • 耐熱性
  • 耐水、耐塵性
  • 耐光性
  • 耐久性

工事現場と事務所では環境が大きく異なるように、場所によって必要な耐環境性能も変わるため、筐体を設計する前に使用環境を想定し、最適な耐環境性能を理解するようにしましょう。

放熱性で選ぶ

内部に電子機器が入っている場合は、放熱性も重要です。

電子機器は動作中に熱を発生させるため、放熱性が低いと温度が上がりすぎて機器の故障につながります。

特にスマートフォンなど、小型の電子機器は微細化に伴って熱による問題が深刻化しているため、放熱性の厳密な設計が欠かせません。

電気設計者と連携し、電子機器がどの程度発熱するか理解したうえで筐体材質・形状を選ぶようにしましょう。

コストや重量

耐環境性や放熱性は、高価な材料を用いれば向上できますが、際限なく性能を上げてしまうとコストも高くなります。

また、特に手持ちで操作する機器においては、軽さも重要なポイントです。

そのため、製品の設計においては、十分な安全マージンを保った上で、最低限のコスト・重量が実現できる筐体を選ぶようにしましょう。

筐体材料の種類

それでは、筐体材料として主に用いられる材質の種類について解説します。
最適な材料を選ぶための参考としてください。

樹脂

樹脂は、最も安価で簡単に製作できる筐体材料です。

射出成型で作るため、加工が簡単でコストが低く軽いこと、量産性に優れることから最も使いやすく、絶縁性が高い特徴もあります。

ただ、強度が低く気密性も低いので、耐環境性能は低めであり、耐久性が低いので長期間使う機器の筐体としても不向きです。

熱伝導率も低いため、放熱性が求められる機器の場合は金属材料を使った方がよいでしょう。

最近では樹脂のメリットをより活かすため、強度を高めた「強化プラスチック」が用いられることもあります。

鉄・ステンレス

鉄やステンレスの板金を加工して作られます。

機械的強度が非常に強く、耐環境性や耐久性にも優れているので、劣悪な環境で使うのに向いています

また、放熱性も優れており、鉄なら非常に安価に作れるのもメリットです。

ただし、鉄は非常に重くてさびやすく、板金加工で作るため量産性に劣るのもデメリットです。

アルミダイカスト

アルミダイカストは、アルミを鋳造して作られる筐体のことです。

アルミなので比較的軽く、耐環境性能や放熱性にも優れることから、電子機器の筐体として最も多く用いられています。

鋳造品なので量産性が高く、コストも低めです。

セラミック

セラミックは腐食に強く、また耐熱性にも非常に優れているため、超高温の環境下や
腐食性のある劣悪な環境で使うのに有効です

加工性が低く熱伝導性も低いため、特殊な環境下でない限りは使われません。
割れやすい特性もあり、耐衝撃性や、急な加熱・冷却に弱いのもデメリットです。

まとめ

今回は、筐体に用いられる材料の種類や、選び方について解説しました。

筐体は製品を壊さず、安全に使うために必要であり、最適な材質を選ぶことで高い品質とコストの低さを両立できます。

材質ごとの特徴をしっかりと把握して選ぶようにしましょう。

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