強度設計超入門講座の概要をご紹介します。(講師の自己紹介あり)

投稿日:2021年11月26日

こんにちは、MONO塾講師の赤尾と申します。

ここまでにいくつかのコラムを書かせて頂きました。強度設計について興味を持って頂けたでしょうか?

そこで本日は、私の自己紹介も兼ねて、セミナーの講義内容について少しお話させて頂きます。

もし、「セミナーを受講してみたいな」とお考えの方は、より多くの情報を吸収する準備ができますのでぜひ最後までお読みいただけますと嬉しく思います。

さて、私はこれまでに航空機エンジニアとして20年、航空機の強度に関わる仕事に携わってきました。

皆さんは、航空機設計の「強度計算」や「強度解析」と聞くとどのようなイメージをされるでしょうか?

「航空機設計の強度解析を20年やっている」、とお話すると大抵の方からは「すごいですね」「頭が良くないとできないですよね」という反応が返ってきます。

これまでは、ほとんどの方がそのような反応でした。

航空機の強度計算(または強度解析)と聞くと、すごく難しいことをしている、とイメージされる方が多いのですが、実はそれほど難しいことはしていません。

大半は、電卓を使い足し算、引き算、割り算、掛け算を行っているだけになります。

ですが、このようにお答えすると

「てっきり、コンピュータを使って
 毎日、難しい計算を行っていると思いました」

と、言われることが多いです。

確かに、コンピュータを使用した計算も頻繁に行います。

ですがそのコンピュータに入力する作業は、
実はそれほど難しくはありません。

入社してすぐにでも、ソフトの操作はできますし、専門知識がなくてもマニュアルに沿って入力して、スタートスイッチを押せば、自動的に計算結果が出てきます。

では、どうしてこんなに強度解析と聞くと、皆さん難しいイメージをするのでしょうか?

思い返してみると、実は、私自信も新入社員だった頃は非常に苦労した経験がありました。

私は、大学で機械工学を学んでいたのですが、
いざ就職し、上司から「航空機の部品の強度計算をやってみて」と
頼まれた際、どこから手をつけてよいかさっぱりわからなかったのです。

上司からは、

「参考資料はここにあるから。」

と言われるのですが、

その参考資料から、どのように結論づければよいかが、全くわかりませんでした。

私は、それまでに大学で材料力学を学んできました。

したがって、数学的に、はりやたわみの公式が積分や微分を使って求めていることも理解していましたので、多少の自信もありました。

でも、、わからないのです。

正直、唖然としてしまった記憶があります。

では、なぜこのようなことが起きてしまったのでしょうか?

いま思い返してみると
次の3つが原因ではないか、と考えられます。

  1. 図面から部品の形状などの情報が読み取れない。
  2. その部品がどんな使われ方をするのかがわからない。
  3. はりの計算をしてと言われても、どのはりのタイプで計算すればわからない。両端支持はり?片持ち梁?

当時は、この3つの問題が絡み合い、
複雑になって、問題点の整理ができないまま、
何がわからないかもわからない」状況だったと思います。

このように、新人だった頃の私は、
知識はあっても、仕事で使うことができない状態でした。

ですが、あれから20数年が経ち、今では強度計算について、
指導の経験をさせていただく立場になりました。

現在、職場では、
一緒に実務を行いながら、
これまでの実践経験を踏まえてアドバイスも行なっています。

その中で、文系出身者の女性で
専門知識が全くなかった方が、航空機強度を保証する
信頼度の高い計算書を作り上げるまで成長された例もございます。

このように、多少なりとも
自分のアドバイスが設計者の成長に役立てられていることは、
本当にうれしいことです。

さて、このコラムをお読み頂いている方の中には、
すでに材料力学を学習した経験がある方も多いのではないでしょうか。

材料力学を学ぶための本は、
すでに世の中に数多くでていますよね。

私も学生の頃はたくさん参考書を読みましたし、
今でも仕事に関係する本は手に取ることもあります。

ですが、参考書を開いて読んでみると、
これは、業務ではすぐに使える内容ではないかも?
と疑問に感じることがあります。

それは、私が新人の頃に苦労した経験から、
一般書籍や学校教育で学ぶ内容と、実務で必要とされる能力に
ギャップ』を感じているためです。

ですので実際の講座では、

皆さんが、そのような材料力学の本などで自習を行う前に、
私が知っておいてほしいと考える

「実際の業務に適応するためのポイント」

をお伝えしようと思います。

こちらを理解することで、
一般書籍と、実務との間にある『ギャップ』を埋めることができ、
より一層材料力学の習得に意欲を持っていただけるはずです。

そして、セミナーでは、
皆様が、材料力学の知識を実際の業務に
役立てていただけるよう、講義いたします。

すこし長くなってしまいましたが、以上が私の自己紹介となります。
ここまでお読み頂きましてありがとうございました。

ここからは、セミナー内容についての
お知らせとなりますので、興味をもって頂けた方は続けてご一読ください。

カリキュラムについて

セミナーは以下のカリキュラムで進めていきます。

  1. モノが壊れる状態をイメージする
  2. 力の単位について(kgfとニュートン、SI単位)
  3. 応力の単位
  4. 力と変形の関係
  5. 延性材料と脆性材料
  6. ブラケットの設計
  7. フックの設計
  8. アイボルトの設計

セミナー「前半」では、
強度設計を行うために必要な基礎を解説します。

  • 単位
  • 応力
  • 力と変形の関係

など、基礎的なことです。

強度設計では、
これらをしっかりと理解することが最も重要です。

基礎がしっかりしていなければ、
設計者として成長していくことはできません。

もちろん、受講者の中には

単位くらいは知っているよ」という方もいると思います。

ですが、実はエンジニアでも
工学単位やSI単位などを、正確に理解して説明できる人
あまり多くはありません。

そのため、自分では知っていると思う方も
ここで理解を深めておきましょう。

そして、セミナー「後半」では、
前半で学んだ知識を実際に活用して、問題を解いていきます。

問題を解く、といっても実際に計算を行う訳ではなく
どのようにして解いていくのか?
の、手順を理解することを目的としています。

ちなみにですが、
本セミナーにお申し込みされたいとお考えの方は、
こちらの後半部分が気になっている方も多いのではないでしょうか。

世の中に、材料力学を学べる教材はたくさんありますが、
実務で「すぐに使える知識」を学べるものはそう多くありません。

その理由として、

この業界に長くおられる方にとってはご存じのことですが、
今までの「機械設計業界」では、
実践の中で学ぶ方法が一般的だったからと思われます。

つまり、部署(仕事場)に配属されてから、
勉強するという方法ですね。

私が設計をはじめたころは、時間と余裕がありました。
ですので、会社で社内研修を受けたり、先輩社員や上司に指導を受けることができました。

このように、社内で教育できる仕組みがあるため、
実用的な強度計算の教材は、世の中に必要がなかったかもしれません。

ですが、時が経つにつれ、その余裕がなくなってきています。

とくに、バブル崩壊やリーマンショック、コロナの影響などで
会社の経営状況が厳しくなればなるほど、上司や先輩社員の皆さんは、
会社の利益を少しでも出すために本業に追われていきます。

昨今では、働き方改革の影響で、
ますます残業時間が制限されるようになりました。

その結果、世の中に「実践的な(すぐに使える)
知識のニーズが高まってきているのではないでしょうか。

私がこのMONO塾で開催している
「強度設計入門セミナー」は、
超初心者を対象としたセミナーです。

『ブラケット』や『フック』といった
ご家庭で使用している身近な製品をモチーフにして、
強度計算の流れを解説していきます。

実際に使っていて「壊れた」
というところがスタートです。

壊れたものが、どのような原因で、どのくらいの力で壊れたのか?
原因を明らかにする手法をご紹介します。

そして、原因が明らかになれば、
次にすることは「力の見える化」です。

通常、力は目に見えませんね。

そこで力の流れを写真や図の中で、
矢印を使って大きさや方向を示していくのです。

力の見える化ができれば、
次は「計算ポイントの確認」です。

壊れやすいポイントというのは、ある程度決まっています。

  1. 力が加わった点から遠い場所
  2. 断面が急に細くなっている場所

などです。

これらを計算ポイントとして、
公式に当てはめて計算していきます。

以上が、解決手順となります。

私はこれを「逆から考える発想法」として説明しています。

一般的な材料力学の教科書では、

1.公式の導き方を学ぶ
   ↓
2.導いた公式を使って問題を解く

という流れが多いですが、

本セミナーでは、

1.壊れた物から課題を発見する
   ↓
2.公式を使って課題を解決する

という流れで説明します。

こちらの方が、
実務に近い形で学ぶことができると私は考えていますし、
これまで多くのエンジニアに、この方法を教えてきました。

イメージが湧きづらい方は、
大工さんを想像してみてください。

彼らはカンナや金づちを作るところからスタートしませんよね。
大工さんは、カンナや金づちの使い方が分かれば良いはずです。

これと同じことで、
設計者は、公式を作るところから学ぶ必要性はなく、
『公式の使い方』が分かれば良いのです。

このようなところを注目して頂きながら
セミナーを受けて頂けると、より理解を深められると思います。

セミナーを受け終わる頃には、
強度設計に対して「難しい、無理」と感じていたものが、
できるかも」に変化しているはずです。

正しいステップを踏むことが
強度設計を習得するためには大切です。

基礎の理解をあいまいにせず、
本講座で土台を整え、設計者として成長いただけると嬉しく思います。

以上、セミナーについてお知らせいたしました。

興味をもって頂けた方は、「強度設計超入門講座」の詳細ページへお進みください。
こちらのセミナーは、いつでも好きな時間に受講していただけるオンデマンドセミナー(動画形式)となっています。

ですので、今すぐ受講したいという方は本日からでもご受講頂けます。

強度設計超入門講座はこちらから

 

- このコラムを書いた専門家 -

赤尾 信広

S45年4月16日生 機械工学専攻修了
中型旅客機、国産ヘリコプタ構造解析
スペースジェット(MRJ)主翼・前縁・SLAT構造解析
専用機開発設計等などを経験
現在、もの塾講師 機械設計技術アドバイザー